和田経営労務研究所
特定社会保険労務士
和 田 栄
http://www.jinsouken.jp/

【ポイント③】
○給料を約半分にまで下げるのは公序良俗に反し無効ではないか?

裁判所は、次のように言って公序良俗に反するとは言えないとしています。
「高年齢雇用継続給付金は、労働者の60歳到達時の賃金月額の61%となることまでも具体的に細かく予測をした上で支給金の割合を決定しており、少なくとも同一企業内において賃金額自体を比較した場合には、制度上織り込み済みというべきものである」

さらに
「定年前と比較すると、労働条件の変更はないとする企業が圧倒的に多数であるにもかかわらず、60歳を超えてからの賃金額は、定年前の50%から70%の間に73.8%が集中しており、そのうち60%から69%の間とする企業が最も多く集中している

要するに、制度上少なくとも4割減までは認めているし、世間一般でも半額とすることが特別下げすぎということもできないというわけです(^-^)

この判断で半額まではOKと言い切るわけにはいきませんが、認められないこともないということではあります。
ただ、リスクはあるので制度上認められていると考えられる4割減くらいまでが妥当ではないでしょうか(^_^)

なお、高年齢雇用継続給付金とは、再雇用で定年前と比べ給料が下がった場合に、その減額分を補填するために雇用保険から社員に対し給付金が支給されるものです。

【まとめ】
訴えを起こした社員と会社の間では、この労働条件の記載された書面に署名捺印しているので、給料を下げたことに合意が成立しています。
継続雇用が義務づけられる前にも、会社の判断で再雇用した社員がいたわけですが、こちらも同様(むしろもっと低い)労働条件で契約しており、特別この社員だけ悪い労働条件としているわけではありません(-""-;)
後になって、法改正を拡大解釈して訴えを起こすこと自体に無理があると思います
((o(-゛-;)パンチ☆

ただ、このような会社からすると理不尽と思えるような訴えもこれからは増えてくると思います( ̄□ ̄;)!!
会社としては法律をクリアすることはもちろんですが、証拠として提出できるよう、またトラブルを予防するという意味でも、労働条件は書面でしっかり締結しておくことをお勧めします!

以上