高年齢者の継続雇用制度/X運輸事件(第1回)
和田経営労務研究所
特定社会保険労務士
和 田 栄
http://www.jinsouken.jp/
前回まで4回にわたり高年齢者の継続雇用制度についてご説明しました。
中でも4回目は重要で、給料の下げ方によっては今回のようにもめる可能性があります(-_-メ
今回から2回シリーズで、X運輸事件を取り上げ、もう少し詳しく見てきたいと思います。
この事件は、定年後再雇用された社員が、「給料を半分近くにしてしまうような給料の引き下げは無効!」として差額を請求したものですヽ(`Д´)ノ
これに対し裁判所は、地方裁判所で棄却、さらに高等裁判所でも棄却され、会社側の全面勝訴となりましv(^-^)v
【ポイント①】
○継続雇用において給料を下げることはできるのか?
裁判所は、次のように言って給料を下げることを認めています。
「高年齢者雇用安定法は、65歳までの雇用確保について、その目的に反しない限り、各事業主の実情に応じた労使の工夫による柔軟な措置を許容する趣旨である」
この法律は65歳まで継続雇用することのみを求めており、継続雇用する場合の労働条件には言及していません。
これについては前回お話ししたとおりです(^~^)
【ポイント②】
○仕事の内容は変わらないのに給料を下げるのは「同一労働同一賃金の原則」や「均等待遇の原則」に反し許されないのでははないか?
これもまた裁判所は、次のように言って給料を下げることを認めています。
「正社員と再雇用の嘱託社員とは労働契約の種類・内容が異なり、異なる賃金体系に基づくものであるから、正社員と再雇用の嘱託社員の間との間には、本来的には、同一労働同一賃金の原則や均等待遇の原則の適用は予定されていない」
さらに
「同一労働同一賃金の原則といっても、同原則が労働関係を規律する一般的な法規範として存在していると認めることはできないし、『公の秩序』としてこの原則が存在していると認めることも困難である」
まず、正社員と再雇用の嘱託社員では会社としての取扱いが異なるので、単純に比較することはできない。
そして、そもそも我が国においては、同一労働同一賃金の原則という概念は確立していないとして、主張の前提条件を欠いているとしています。
つまり、見た目は仕事内容が同じでも、給料に差を付けることが直ちに違反となるわけではないということです。
必ず給料を下げることに反発する社員はいるもので、そのときこの判断は有効な説得材料になります(^_^)v
(次回につづく)
特定社会保険労務士
和 田 栄
http://www.jinsouken.jp/
前回まで4回にわたり高年齢者の継続雇用制度についてご説明しました。
中でも4回目は重要で、給料の下げ方によっては今回のようにもめる可能性があります(-_-メ
今回から2回シリーズで、X運輸事件を取り上げ、もう少し詳しく見てきたいと思います。
この事件は、定年後再雇用された社員が、「給料を半分近くにしてしまうような給料の引き下げは無効!」として差額を請求したものですヽ(`Д´)ノ
これに対し裁判所は、地方裁判所で棄却、さらに高等裁判所でも棄却され、会社側の全面勝訴となりましv(^-^)v
【ポイント①】
○継続雇用において給料を下げることはできるのか?
裁判所は、次のように言って給料を下げることを認めています。
「高年齢者雇用安定法は、65歳までの雇用確保について、その目的に反しない限り、各事業主の実情に応じた労使の工夫による柔軟な措置を許容する趣旨である」
この法律は65歳まで継続雇用することのみを求めており、継続雇用する場合の労働条件には言及していません。
これについては前回お話ししたとおりです(^~^)
【ポイント②】
○仕事の内容は変わらないのに給料を下げるのは「同一労働同一賃金の原則」や「均等待遇の原則」に反し許されないのでははないか?
これもまた裁判所は、次のように言って給料を下げることを認めています。
「正社員と再雇用の嘱託社員とは労働契約の種類・内容が異なり、異なる賃金体系に基づくものであるから、正社員と再雇用の嘱託社員の間との間には、本来的には、同一労働同一賃金の原則や均等待遇の原則の適用は予定されていない」
さらに
「同一労働同一賃金の原則といっても、同原則が労働関係を規律する一般的な法規範として存在していると認めることはできないし、『公の秩序』としてこの原則が存在していると認めることも困難である」
まず、正社員と再雇用の嘱託社員では会社としての取扱いが異なるので、単純に比較することはできない。
そして、そもそも我が国においては、同一労働同一賃金の原則という概念は確立していないとして、主張の前提条件を欠いているとしています。
つまり、見た目は仕事内容が同じでも、給料に差を付けることが直ちに違反となるわけではないということです。
必ず給料を下げることに反発する社員はいるもので、そのときこの判断は有効な説得材料になります(^_^)v
(次回につづく)