19 付与と繰り越しの方法は、会社が決めていい(その5)
有休の消化を前年度繰越分と今年度付与分の
どちらからするのかで、結果はまったく違ってきます。
前回の例では、今年度付与分から消化の方が、
有休は8日も少なくなりました。
なんか、会社にはトクでも
社員にはソンのような気がしますね。
でも、在職中はあまり損得はありません。
というのも、8日少なくなったといっても
2年6か月目には14日あるのです。
有休の取得は多くても10日程度でしょうから、
結局は2年前の分は毎年切り捨てられていくのです。
ですから、有休が22日でも14日でも実質的には変わらないのです。
ただし、唯一変わるのが、退職のときです。
残った有休をまとめてとって退職する社員がいますが、
このとき有休消化の順番によって違いが出てきます。
例えば、勤続10年の社員が有休の残り全部をとって退職する場合。
この社員は、前年に有休を10日消化していたとします。
このとき有休消化の順番によって次のような違いが出ます。
①前年度繰越分から消化の場合
(20日-10日)+(20日-0日)=30日
20日+20日=40日(10日切り捨て)
②今年度付与分から消化の場合
(20日-0日)+(20日-10日)=30日
10日+20日=30日(20日切り捨て)
このように、退職時の有休消化は、
①は40日のフル日数になるのに対し、②は30日に抑えることができました。
有休の消化を今年度付与分からとすることは、
退職時の有休消化の抑制に大きな効果を発揮するのです。
逆に社員にしても、在職中の不利益はほとんどなく、
退職時にこのようになってしまう程度です。
しかも、退職ギリギリまで出勤する社員にとっては、
ほぼ不利益はないと言えるでしょう。
(おわり)
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