和田経営労務研究所
特定社会保険労務士
和 田 栄
http://www.jinsouken.jp/

育児介護休業の制度自体が難解になった理由は3つあります。

一つ目は、メニューが多すぎること。
「育児休業」、「介護休業」、「介護休暇」、「看護休暇」、この似たような名称を区別するだけでもたいへんなのに、そこに「時間外労働の制限」、「所定外労働の免除」、「深夜労働の免除」が加わります。
しかも、それぞれに条件と例外があるというのですから、もはや理解の限界を超えていますヽ((◎д◎ ))ゝ

二つ目は、労働法特有の専門的な考え方が入ってきていること。
たとえば、「時間外労働」と「所定外労働」はどう違うのかわかりますか?
専門家は当然わかりますが、普通はこの違いわかりませんよね。
時間外労働とは、法律で認められた労働時間(1日8時間、1週40時間)を超える労働のこと。
所定外労働とは、労働契約で定められた労働時間を超える労働のこと。

こう書いても、わかったようなわからないようなでしょうね┐( ̄ヘ ̄)┌
要するに、時間外労働は所定外労働の一部だといえます。
1日8時間の会社であれば、時間外労働も所定外労働も同じですが、1日7時間の会社の場合は、7時間を超えれば所定外労働となりますが、8時間を超えないと時間外労働にはなりません。
つまり、7時間を超えれば所定外労働になり、さらに8時間を超えると時間外労働となるのです。

三つ目は、条件が技術的で難解なこと。
たとえば今回の改正で、1歳2か月まで育児休業をとることができるようになりましたが、次のような条件があります。
(1) 配偶者が、子の1歳に達する日までの間に1日以上育児休業を取得すること
(2) 社員は、配偶者と同時または配偶者より後に育児休業を開始すること
(3) 社員は、子の1歳の誕生日までに育児休業を開始すること

どうですか。わかりましたか?
これでもわかりやすく書いているんですよ。
法律はこの10倍くらい難解です(-_-メ

ちなみに、1歳2か月までとはいっていますが、休業期間は1年間が限度です。
つまり、1歳2か月までの間に1年間の休業をとれるということです。
母親の場合は産後休業も含めて1年間なので、事実上1歳までしか休業できません。
社員からすると盲点ですね(  ̄っ ̄)

それともうひとつ。
原則として、育児休業から復帰した場合は、同じ子供については改めて休業(2回目)することはできません。
しかし、今回の改正で父親が、「次の期間」に休業した場合にかぎっては2回目の休業もできるようになりました。
(1) 出産予定日に出産した場合・・・・・・・出産日から出産日後8週間までの期間
(2) 出産予定日より出産が早まった場合・・・出産日から出産予定日後8週間までの期間
(3) 出産予定日より出産が遅れた場合・・・・出産予定日から出産日後8週間までの期間

これもよくわからないですよね。
でもこれもわかりやすく書いているんですよ。
法律はこの20倍くらい難解です(-""-;)

そもそも、産後休業を知らなければ意味が通じません。
産後休業とは、原則として出産後8週間は労働させてはならないと法律で決められている期間のことです。
以前より、この期間については父親も育児休業をとることができましたが、これを過ぎると職場復帰しなければなりませんでした。
そして、2回目の休業はできないので、保育所に預けるか他に子供を面倒見てくる人がいないかぎり、母親は職場復帰できなかったのです。

これが改正で父親は2回目も休業できることになったので、母親が職場復帰する代わりに父親が休業することもできるようになったわけです。

ここまで説明すれば、なんとなくわかっていただけるかもしれませんが、そうでなければさっぱりわかりません。

これでは会社も社員も困ります(`ε´)
会社は運用しようにもどうのようにしたらいいのかわかりません

育児・介護の制度は無制限に認められるわけではないので、条件と例外が重要です。
でも、まったく理解できません( ̄□ ̄;)

社員も利用しようにも何をどう利用したらいいのかわかならないし、どこまで利用できるのかもわかりません。
育児と仕事を両立しようと思っても計画の立てようがありません。

いったいどういうつもりでこの法律を作っているんでしょうかね((o(-゛-;)

(次回につづく)