2012年 5月の記事一覧
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前回、
通勤手当に上限を設けるというお話をしました。
では、上限はいくらくらいが妥当でしょうか。
それは会社の考え方と財務体力によるでしょうから、
一概には言えません。
ただ、
所得税法の通勤手当の非課税限度額を上限とするのは
理にかなっていますね!(^^)!
【マイカー・自転車通勤者の通勤手当/国税庁】
http://www.nta.go.jp/taxanswer/gensen/2585.htm
通勤手当は、距離に応じて一定額まで非課税になります。
この一定額と同じ額を通勤手当の上限とするのです!
ガソリン単価が高騰したときは、
どの会社でも通勤手当を上げるべきか悩んだものです。
ところが、通勤手当の非課税限度額を上限としていた会社は悩みませんでした。
上限を超えては支払えないと突っぱねたのです。
「この上限は会社が決めているのではなく国が決めているもの。」
「文句があるなら国に行ってくれ!」
うまく責任を国に転化したわけですね(^_-)
(つづく)
本書では、
次のような通勤手当での失敗をご紹介しています。
○住まいが近所なので、
通勤手当がいらないと思って採用した社員が、
結婚して遠くから通うことになり、
月額2万5,000円も通勤手当を支払うことになった。
○ガソリン価格が高騰したため
車通勤者の不満が爆発し、
全員の通勤手当を大幅に上げることになった。
通勤手当の困ったところは、
採用時に確定するものではなく、
後で変更になることがあるということ。
それと、
会社はそれをコントロールできないということです(-_-;)
でも本当にそうでしょうか。
確かにコントロールは無理かもしれませんが、
一定額で歯止めをかけることはできますよね。
よくやるのは上限を設けること。
いくら実費補償といっても、会社からすれば人件費なので、
基本給となんら変わりません。
ですから、青天井というわけにはいかないのです(^_^;)
(つづく)
本書には、
いろいろ驚くべきことが書かれていますが、
読んで一番意外だったのが
この通勤手当のことのようです(゜o゜)
出版社の営業の方が書店回りをすると、
店員さんによく訊かれたとのこと。
「『通勤手当を払わなくていい』って
本当なんですか?」
確かに、
通勤手当って当たり前のように
支払われていますから、
これを払わなくていいなんて
信じられないかもしれません。
特に首都圏では電車通勤が普通なので、
これを自己負担にされたらそれは大変ですね。
でも法律では会社に通勤手当の支払い義務はありません!
法律で支払い義務があるのは次の5つだけです。
①基本給
②割増賃金
③年次有給休暇の賃金
④休業手当
⑤休業補償
休業手当とは、会社の都合で休業した場合に、平均賃金の60%以上を支払うこと。
休業補償とは、業務上の労災で休業した場合に、平均賃金の60%以上を支払うこと。
いずれもイレギュラーなケースなので、通常は①~③の支払いのみとなります。
会社によって様々な手当がありますが、すべて支払い義務はありません。
通勤手当も例外ではないのです!
(つづく)
給料は、現金払いと振込以外は
原則として認められません。
商品で支払うなんてことはもちろん、
小切手や郵便為替などもダメです。
意外かもしれませんが、
通勤定期券を渡すというのもダメです。
「えっ?通勤定期券を支給されていますよ???」
こんな方もいらっしゃるでしょう。
私もサラリーマン時代はそうでした。
じつは、
労働協約で決められていればそのようにできます。
労働協約とは、
使用者と労働組合が話し合って決めた約束事です。
「本当はダメだけど、
労働組合と話し合って決めたのならよいでしょう」
ということです。
しかしこれは、
「労働組合がない会社ではできない」ということを意味しています。
でも労働組合がない会社も普通に通勤定期券を支給していたりしますよね。
本当は通勤定期券相当額を支払わなければならないんですが・・・。
まあ、これで問題になることはありませんけどね。
ちなみに、退職金に限っては、
銀行振出の小切手や郵便為替を交付して支払うことができます。
ただし、これも社員本人の同意が必要です。
(おわり)
給料を銀行振込とする場合に、
頭に入れておいてほしいことがあります。
それは
「午前10時頃には引き出しができるようにする」
ということです。
給料の支払いにおいては、
「確実性」が何よりも重視されます。
その点、現金払いが一番確実なのですが、
もし銀行振込にするのであれば
同レベルの確実性が要求されるのです。
意外に
「給料日中に振り込まれていればいいんだろう」
と思っている社長さんも多いようで、
給料日に銀行のATMで振込をする人がいます。
これでは、その日中には振り込まれても午前10時には間に合いません。
前日には振込作業をしておく必要があります。
社員にとって給料は最大の関心事。
ちょっとした遅れも不信感につながります。
そのようなことのないよう、きちんと対応したいですね。
(つづく)
給料を現金で支払うことは少なくなりましたが、
本来は現金で支払わなければなりません。
法律では「賃金は、通貨で、直接労働者に、
その全額を支払わなければならない」とされています。
この「通貨で」というのが「現金で」という意味です。
この趣旨は、お金がないからといって
商品で払ったりすることのないよう、
現金払いを義務付けるというものです。
ですので、
きちんと支払われれば現金払いでなく
銀行振込としてもかまいません。
ただ、今でも法的には給料は現金払いとなっており、銀行振込は例外扱いです。
ですので、銀行振込にするためには社員本人の同意がいります。
でも、「銀行振込にしていいですか?」なんて確認している会社はないですよね。
たいていは当たり前のように振込口座を書いて出してもらっているでしょう。
これでも同意したことになります。
いやだったら断ればよいわけですからね。
「えっ、断れるんですか!?」
そう思った方もいるかもしれません。
本人の同意が必要ということは、当然断ることもできます。
たまに「現金でほしい」とか「振込と現金に分けてくれ」
などと言う面倒な社員もいます。
法律上は振込と現金に分ける義務はありませんが、
現金払いを希望されればそうせざるを得ません。
とはいえ、一人だけ現金払いにするのは事務的に負担になるので、説得しますよね。
「絶対現金じゃないといやだ」という社員はまずいませんし。
逆に、社員から「銀行振込にしてほしい」と言われても
そのようにする義務はありません。
法律で「現金払い」とされているのですから、当然ですね。
(つづく)
給料を現金でもらったことがありますか?
単発のアルバイトならともかく、
今はどの会社でも銀行振込なので、
現金でもらうということは
ほとんどなくなりましたね。
本書にも書きましたが、
昔はお父さんにとって給料日は特別な日でした。
札束の入った給料袋を持って帰ると、
「お父さん、お疲れさま」と言って、
ごちそうを作って待っていてくれた。
給料日は月に一度の威厳を保つ大事な日だったのです。
でも今は、封筒に入っているのはぺらぺらの給料明細書だけ。
会社によっては、給料明細書さえないということもあるそうです。
給料明細はオンライン上で見られるようにしておいて、
紙でほしい人だけ印刷するらしいのです。
私はサラリーマン時代、給料計算の仕事で3,000人分の給料明細書を出していました。
ですので、明細書がないというのはどうもピンときません。
ちなみに、自分の明細書は初任給分から退職時まで大事にとってあります。
自分にとっては、ひとつの歴史ですからね。
(つづく)
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