2012年 3月の記事一覧
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さて、祝日や夏期休暇、年末年始休暇に
計画年休をあてて休みにできたとして、
ひとつ問題があります。
それは、有休が足りないということです。
これをするためには、計画年休が20日程度必要です。
自由に使える分として5日は残さないといけないので、
有休は全部で25日なければなりません。
有休は2年分持てるといっても、
25日になるまでは数年かかります。
そもそも、入社して半年間は有休ゼロなので、
計画年休にあてようがありません。
かといって、有休が足りない社員は出勤させると言うわけにもいかないでしょう。
(法的には出勤させてもかまいませんが・・・)
ですので、
実務では有休が足りないときはその分を特別休暇で休ませるしかありません。
例えば、祝日や夏期休暇、年末年始休暇が全部で20日ある場合に、
計画年休を15日しかあてられないときは、残り5日は特別休暇とするのです。
休日として休ませることを考えれば、特に問題はないですよね。
(おわり)
前回、
祝日や夏期休暇、年末年始休暇を『休日』にすると、
残業代の増加につながるので問題だ
というお話をしました。
そこで、そうならないよう計画年休を活用します。
祝日や夏期休暇、年末年始休暇を
『休日』ではなく『計画年休』で休みにするのです。
具体的にいうと、
祝日や夏期休暇、年末年始休暇はやめて
出勤日にします。
そのうえで計画年休をあてて休みにします。
休日でも計画年休でも休みには違いありませんが、
会社にとって2つの点で大きなメリットがあります。
一つは、休日は土日だけになるので、
割増単価はアップせず残業代も増加しません。
もう一つは、有休を大幅に消化できるので、
退職時にまとめて消化されるリスクを軽減できます。
とてもメリットのあるやり方なのですが、
残念ながら現在これらを休日としている会社では、勝手にすることはできません。
社員の同意がいります。
ですので、実務上はなかなか難しいかもしれません。
ただ、これから始めようという会社にとっては検討の余地は十分ありだと思います。
(つづく)
前回、『事業場全体の休業による一斉付与方式』が
会社にとってメリットがあるというお話をしました。
本書では、
これのさらに効果的な活用法をご紹介しています。
それについて、ここで詳しく解説しようと思います。
が、その前提として、
休日について知っておいていただきたいので、
ちょっと話は逸れますがお付き合いください。
週40時間労働で考えると、
休日は週に2日あれば足ります。
たいていは土日になりますが、
土日以外に休日を設けなくても、
法律違反にはなりません。
つまり、祝日や夏期休暇、年末年始休暇はなくてもかまわないのです。
しかし、たいていの会社はこれらを休日にしています。
休みにすること自体はよいのですが、これを『休日』とすると困ったことが起きます。
休日が土日だけなら、1年は52週なので年間休日は104日です。
そうすると、年間労働日は
365日-104日=261日
月平均労働時間は
261日×8時間÷12か月=174時間
月給26万円なら時間単価は
26万円÷174時間=約1,500円
一方、祝日や夏期休暇、年末年始休暇を休日にすると、一般的に年間休日は125日。
年間労働日→240日
月平均労働時間→160時間
時間単価→1,625円
約8%のアップですが、これはそのまま割増単価のアップになり、
残業代の増加につながってしまうのです。
(つづく)
今回は、すごい本がでましたのでご紹介いたします。
『社長は労働法をこう使え!』
向井蘭 著(ダイヤモンド社)
本格派法律系ビジネス書では異例の大ヒットとなっています(≧▽≦)
(Amazonランキング総合30位)
Amazon購入 → http://amzn.to/z5OJiS
本書には、労働トラブルの原因、対応、予防が書かれていますが、
最大の特徴は極めてリアルであること!
「セミナーで、しかも録音不可なら話しますよ」
というようなことが惜しげもなく書かれています。
私は向井先生のセミナーを何度も受講していますが、
セミナーだから言えることと思っていました。
それをまさか活字にするとは・・・。
その勇気には心から敬意を表します。
さて、本書は専門知識がなくても十分読めますが、
2時間で読めるような最近のビジネス書に比べるとちょっと骨が折れます。
そこで、もし読まれない方のために、
これだけは知っておいてほしいことをご紹介いたします。
それは「安易な解雇は会社を潰しかねない!」ということです( ̄□ ̄;)
本書には次のようなことが書かれています。
*----------------------------------------------------------*
○第2章‐1『正社員を解雇すると2,000万円かかる』
正社員を解雇して通常の裁判になると次のような流れになります。
解雇→仮処分→本裁判
仮処分とは、裁判が長期にわたると原告は生活に困窮するため、
その間の生活費として会社に賃金の支払いを命じるものです。
さて、もし裁判で敗訴した場合、解雇は無効となるので、
社員はまだ在籍することになります。
したがって、解雇から現在までの賃金を支払わなければなりません。
でも、仮処分ですでに支払った分は控除できそうですが・・・、
じつはできません。
なんと二重払いになってしまうのです!
オーマイゴット\(゜□゜)/
例えば次のようなケース。
解雇日~結審・・・2011年10月~2012年11月(25か月)
仮処分~結審・・・2011年3月~2012年11月(20か月)
一審裁判期間・・・2011年5月~2012年4月(12か月)
二審裁判期間・・・2012年5月~2012年11月(6か月)
賃金が月額30万円だとすると
仮処分期間・・・・・30万円×20か月=600万円
結審までの賃金・・・30万円×25か月=750万円
合計・・・・・・・・600万円+750万円=1,350万円
しかも、これだけ払っても解雇は無効なわけですから、
どうしても辞めてほしいのであれば、退職金の上積なども必要でしょう。
結局、2,000万円くらいかかってしまうのです(>_<)
*----------------------------------------------------------*
中小企業でポンと2,000万円払える会社はないでしょう。
とはいっても、どうしても辞めてほしい社員がいることもあります。
その場合は、解雇するのではなく話し合いを持ってください。
いわゆる『退職勧奨』というものです。
通常は簡単に納得することはありませんから、
そのときは手切れ金が必要になります。
とりあえず給料の3~4か月分は覚悟しておかなければなりません。
高いと思われるかもしれませんが、
もめればこんな金額では済まないことは前述のとおりです。
ここは、経営者としての冷静な判断が必要でしょう。
『社長は労働法をこう使え!』
向井蘭 著(ダイヤモンド社)
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本書には、労働トラブルの原因、対応、予防が書かれていますが、
最大の特徴は極めてリアルであること!
「セミナーで、しかも録音不可なら話しますよ」
というようなことが惜しげもなく書かれています。
私は向井先生のセミナーを何度も受講していますが、
セミナーだから言えることと思っていました。
それをまさか活字にするとは・・・。
その勇気には心から敬意を表します。
さて、本書は専門知識がなくても十分読めますが、
2時間で読めるような最近のビジネス書に比べるとちょっと骨が折れます。
そこで、もし読まれない方のために、
これだけは知っておいてほしいことをご紹介いたします。
それは「安易な解雇は会社を潰しかねない!」ということです( ̄□ ̄;)
本書には次のようなことが書かれています。
*----------------------------------------------------------*
○第2章‐1『正社員を解雇すると2,000万円かかる』
正社員を解雇して通常の裁判になると次のような流れになります。
解雇→仮処分→本裁判
仮処分とは、裁判が長期にわたると原告は生活に困窮するため、
その間の生活費として会社に賃金の支払いを命じるものです。
さて、もし裁判で敗訴した場合、解雇は無効となるので、
社員はまだ在籍することになります。
したがって、解雇から現在までの賃金を支払わなければなりません。
でも、仮処分ですでに支払った分は控除できそうですが・・・、
じつはできません。
なんと二重払いになってしまうのです!
オーマイゴット\(゜□゜)/
例えば次のようなケース。
解雇日~結審・・・2011年10月~2012年11月(25か月)
仮処分~結審・・・2011年3月~2012年11月(20か月)
一審裁判期間・・・2011年5月~2012年4月(12か月)
二審裁判期間・・・2012年5月~2012年11月(6か月)
賃金が月額30万円だとすると
仮処分期間・・・・・30万円×20か月=600万円
結審までの賃金・・・30万円×25か月=750万円
合計・・・・・・・・600万円+750万円=1,350万円
しかも、これだけ払っても解雇は無効なわけですから、
どうしても辞めてほしいのであれば、退職金の上積なども必要でしょう。
結局、2,000万円くらいかかってしまうのです(>_<)
*----------------------------------------------------------*
中小企業でポンと2,000万円払える会社はないでしょう。
とはいっても、どうしても辞めてほしい社員がいることもあります。
その場合は、解雇するのではなく話し合いを持ってください。
いわゆる『退職勧奨』というものです。
通常は簡単に納得することはありませんから、
そのときは手切れ金が必要になります。
とりあえず給料の3~4か月分は覚悟しておかなければなりません。
高いと思われるかもしれませんが、
もめればこんな金額では済まないことは前述のとおりです。
ここは、経営者としての冷静な判断が必要でしょう。
計画年休のやり方には3種類あります。
①事業場全体の休業による一斉付与方式
②班別の交替制付与方式
③年次有給休暇付与計画表による個人別付与方式
計画年休は労使で話し合って休む日を決めるので、
一斉に休むようなイメージを持っている方も
多いでしょう。
でもそれだと、
サービス系の業種ではちょっと難しいですね。
そこで休みをとりやすいように
3パターン用意されているのです。
ただ、会社にとってメリットがあるのは①です。
一斉に休みにしてしまえば、電気代の節約になりますからね。
その点②は限定的ですし、③はまったくメリットがありません。
(つづく)
計画年休といっても、
有休を全部それにあてるわけにはいきません。
そんなことをしたら、
自由に使える有休がなくなってしまいますからね。
計画年休にあてられるのは、
有休のうち5日を超える分とされています。
例えば、有休を15日持っていれば、
10日までなら計画年休にすることができます。
要するに、
自由に使える分として5日は残しなさいということですね。
ところで、
有休は前年繰越分と本年付与分とがありますが、
5日とはそれぞれで5日ずつなのか、
それとも合わせて5日なのかという問題があります。
これは、合わせて5日ということになっています。
例えば、前年繰越分が6日、本年付与分が12日だとすると合計18日なので、
13日までは計画年休とすることができます。
(つづく)
有休は、いつ、何のために休んでも、
社員の自由・・・
と思っていませんか?
じつはそうとは限りません。
『計画年休』というものを聞いたことがあるでしょうか。
正確には『年次有給休暇の計画的付与制度』といいますが、
要するに、社員の意思に関係なく、
決められた日に有休をとらせるという制度です。
有休の取得率はここ数年50%弱で推移しています。
忙しい、とりずらい、
もしものときのためにとっておきたい・・・。
理由は様々でしょうが、とにかく日本人はあまり有休をとりません。
ヨーロッパの国々では、長期休暇をとるのが当たり前だったりしますが、
日本では長くても1週間程度でしょう。
だからといって、それが悪いということではないと思いますが、
国としては「何とか取得率をアップさせたい!」と思っているようです。
そこで編み出したのが計画年休。
これは、労使で話し合って有休で休む日を決めてしまう制度なので、強制力があります。
社員が休みたくなくても、決められた日は有休を消化して休まなければならないのです。
毎年何日も自由に有休を消化している人にとっては、迷惑な話かもしれませんね。
(つづく)
法律では半休を認めていない。
1時間単位の有休は認めているが、
これも年間5日分までの制限あり。
なぜ、このように厚生労働省は
有休を1日単位にこだわるのでしょうか?
そもそも有休の趣旨は「休養」です。
休日以外にも休みをとることで
英気を養うことが目的なのです。
そのためには、やはり1日は必要。
というわけで、
あくまで1日単位にこだわっているのです。
しかし、時代は変わります。
以前は休日といっても日曜日と夏期休暇、年末年始休暇だけ。
よくてプラス祝日でした。
祝日も今より少なかったですね。
ですので、休養のために有休をとるというのも有効でした。
しかし、今は最低でも週休2日制。
たいていは祝日や長い夏期休暇、年末年始休暇もありますから、
年間休日125日という会社も珍しくありません。
そうすると、改めて休養のために有休をとる人はまずいませんよね。
ほとんどの人が「私用」のために有休を使います。
ですので、1日単位にこだわる必要性はありません。
1時間単位の有休はそれだけで管理が面倒なのに、
さらに5日分までという制限も管理しないといけない。
これじゃ普及しませんよね。
なぜ5日分までという制限を付けるのか、まったく理解できません。
(おわり)
有休を1時間単位でとれることは、
その1でも触れました。
しかし、
これは年間5日分までという制限があります。
1日8時間の会社であれば40時間(8時間×5日)までです。
この5日分とは、
前年から繰り越された有休も含めての日数になります。
例えば、3日分(24時間分)を未消化で繰り越した場合。
翌年は8日分(3日+5日)となるのではなく、
あくまで5日分までです。
なお、
「1時間単位で付与することができる」としているだけなので、
しなければならないわけではありません。
ですので、社員から要望があったとしても拒否することができます。
実際のところ、事務的にかなり管理が面倒なので、
積極的に導入する会社は少ないようですね。
1時間でも多く勤務してほしいという会社には有効でしょうが、
そうでなければわざわざ導入するメリットは少ないと思います。
ちなみに、1時間単位の有休を導入したとしても、
1日単位はもちろん半日単位もそのまま残るので、有休は3種類ということになります。
(つづく)
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