改正 労働基準法の詳細(考え方)=平成22年4月~施行
投稿日:2010年01月11日月曜日 11時12分06秒
投稿者:たわだ社会保険労務士事務所 カテゴリー: General
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今年の4月から「労働基準法」が改正されます!
そこで今日は、その「労働基準法の改正」について解説します。
【改正の主なポイント】
(1)1ヶ月の残業時間が60時間を超えた場合(超えた部分について)
→ 残業手当の割増率がアップ
(2)有給休暇を1時間単位で取得することができる
(1)に関して解説します。
現在の法律(平成22年3月31日まで)では、
○ 1日8時間を超えて仕事をした場合は、割増率が25%以上の残業手当
を支払うことになっています。
しかし、今回の改正で
○ 1ヶ月間の残業時間が60時間までの場合・・・割増率25%以上
○ 1ヶ月間の残業時間が60時間を超えた場合・・・割増率50%以上
の残業手当を支払う義務が生じます。
このことによって、長時間の残業が当たり前の会社では、
今までよりも残業手当の負担が大きくなります。
当然、会社としても残業を減らす傾向になるでしょう。
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◆そこが法律を改正した狙いです◆
また、残業を抑制する目的としては、
① 社員の健康保持
② 社員のプライベートの時間の確保
③ 男性社員の子育て支援の促進
などがあります。
◎ちなみに「改正で増えた部分」の残業代を支払わないこともできますが、
その代わりに、これに相当する休暇を与えることが条件です。
ここで誤解をして欲しくないのですが、 支払わなくてもOKなのは【改正で増えた部分】の残業代【のみ】です。
これ以外の部分は従来通りの考え方です。
具体的に例をあげて説明いたしますと・・・
○ 1ヶ月の残業時間・・・76時間
○ 月60時間までの残業手当の割増率・・・25%
○ 月60時間を超えた残業手当の割増率・・・50%
この場合、休暇に換算される時間数は
「(76時間-60時間)×(50%-25%)=4時間」となります。
要するに、4時間の休暇を与えれば、
「改正で増えた部分」=25%部分の残業代を支払わなくてもОKなのです。
もちろん、60時間を超えた部分(16時間分)の残業手当は、今まで通り、25%以上の割増率で支払わなければなりません。
上記と同じ条件でを整理すると、下記となります。
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<改正前>
76時間の残業に対して、25%以上の割増率で残業手当を支払う
<改正後>
○ 76時間の残業に対して、25%以上の割増率で残業手当を支払う
+
○ 4時間の休暇を与える または 50%以上の割増率で残業手当を支払う
ただし、中小企業に関しては「猶予」され、3年後に再検討されることになっています。
ちなみに、中小企業に該当するかどうかは、資本金の額、または、従業員数で判断されます。
【資本金の額】
○ 小売業、サービス業・・・5,000万円以下
○ 卸売業・・・1億円以下
○ それ以外・・・3億円以下
となっています。
【従業員の数】
○ 小売業・・・50人以下
○ サービス業、卸売業・・・100人以下
○ それ以外・・・300人以下
となっています。
いずれかの条件に該当すれば「中小企業」となり、この適用は「猶予」されるのです。
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次に(2)の「有給休暇の1時間単位での取得」について解説します。
現在の法律では、有給休暇は「1日単位で取得」が原則です。
また、会社で決めれば、半日単位でもOKとなります。
今回はこれを改正して、1時間単位で取得できるようになるのです。
その理由は・・・
○ 柔軟に有給休暇を取得
○ 時間単位なら休みやすい
ということが考えられます。
ただし、1時間単位の有給休暇の制度を導入するためには、下記の条件が必要です。
○ 従業員が時間単位での取得を希望している
○ 労使協定を締結、下記事項を定める。
→ この制度が適用される社員の範囲(例:正社員のみ)
→ 1時間単位で取れる有給休暇の日数(例:年5日分まで)
→ 1時間単位の有給休暇の換算単位(例:1日分を8時間とする)
この(2)に関しては中小企業も猶予されません。
だから、労使協定を締結すれば、どんな会社でも適用されるのです。
もちろん、これを運用していくためには
① 勤怠の管理
② 有給休暇の残日数
③ 残時間の管理
が厳格に行なわれていることが必要です。
最後に、これらをどう就業規則に反映させるかを解説します。
具体的に見直すべき項目は、
◆ 60時間を超えた場合の残業手当の割増率
→ 50%以上という条件で、何%にするのか?
◆ 60時間を超えた残業手当を休暇に振り替える制度の有無
◆ 60時間を超えた残業手当を休暇に振り替える計算方法
◆ 1時間単位で有給休暇を取れる場合の計算方法など
などです。
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◎施行は4月1日からですが、
○ 就業規則の改定
○ 労使協定の締結
○ 社内システムの見直し
なども考えたら、時間に余裕はありません。
◆企業様には、早めに対応されることをお勧めいたします◆
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