2011年 3月の記事一覧
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東日本大地震・津波により、様々な労働問題が表面化し始めました。
カンタンにまとめておきます。
■地震・津波による休業は、休業手当を支払う必要がありません。
■計画停電による休業は、事業主の責任ではないので、休業手当を支払う必要がありません。
■労災は、阪神大震災の時と同様に考えます。
■被災地には、雇用保険法・助成金などで特例措置が設けられています。
大阪・関西でも、「休業手当」「助成金」の相談が増えてきており、「解雇」の相談が次に控えております。
事業主(経営者)にしろ、従業員にしろ、個別の事情が絡んできますので、まずは次のところでご相談ください。
■顧問社会保険労務士がいる場合→顧問社会保険労務士の先生へ
■支店・工場・営業所等の場合→本社の人事労務ご担当者へ
役所であれば、次のとおりです。
■事業所管轄の労働基準監督署・公共職業安定所へ
助成金に関しては、私が先週の金曜日に得た情報と、今週になって厚生労働省から出た情報が違っていますが、最新の情報は労働局や職安で確認のうえ、手続き等をお願いします。
大阪社労士事務所
今回の東日本大地震について、労災の通達を探していたのですが、すでに発生当日に出ておりました。(勉強会の皆さん、情報ありがとうございます。)
取りあえず、pdfからテキストを抽出して、お知らせします。
基労補発0311第9号
平成23年3月11日
平成23年3月11日
都道府県労働局労働基準部
労災補償課長殿
厚生労働省労働基準局
労災補償部補償課長
労災補償部補償課長
東北地方太平洋沖地震に伴う労災保険給付の請求に係る事務処理について
東北地方北部地震(以下「地震」という。)が本日(3月11日)発生し、これに伴い被災労働者の所属事業場が倒壊あるいは焼失等した場合、労災保険給付の請求に困難を来す場合も予想されることから、労災保険給付の請求に係る事業主の証明等の事務処理については、当面の緊急措置として下記により対応されたい。
記
1 労災保険給付請求に係る事業主証明及び診療担当者の証明
今回の地震により、被災労働者の所属事業場等が倒壊した等の理由から、労災保険給付請求書における事業主証明を受けることが困難な場合には、事業主証明がなくとも請求書を受理すること。
また、被災労働者が療養の給付を受けていた医療機関が倒壊した等の理由から、診療担当者の証明が受けられない場合においては、診療担当者の証明がなくとも請求書を受理すること。
なお、この場合、請求書の事業主証明欄の記載事項及び診療担当者の証明欄の記載事項を請求人に記載させ、当該証明を受けられない事情を付記させること。
2 業務上外等の基本的な考え方
今回の地震による業務上外の考え方については、平成7年1月30日付け「兵庫県南部地震における業務上外等の考え方について」に基づき、業務上外及び通勤上外の判断を行って差し支えない。
したがって、個々の労災保険給付請求事案についての業務上外等の判断に当たっては、天災地変による災害については業務起因性等がないとの予断をもって処理することのないよう特に留意すること。
3 労災保険給付に関する相談等
今回の地震に基づき、労災保険給付請求に係る相談及び請求があった場合については、相談記録票等により把握し、当面の間、相談・請求があった件数を当日に集計し、翌日12時までに当課業務係まで報告すること。
参考資料
(平成7年1月30日付け「兵庫県南部地震における業務上外等の考え方について」別添資料)
1 業務災害
地震により、業務遂行中に建物の倒壊等により被災した場合にあっては、作業方法や作業環境、事業場施設の状況などの危険環境下の業務に伴う危険が現実化したものと認められれば業務災害となる。
2 通勤災害
業務災害と同様、通勤に通常伴う危険が現実化したものと認められれば、通勤災害となる。
なお、上記1及び2は、従来の考え方に基づくものであり、変更したものではない。
3 業務災害
<事例1>作業現場でブロック塀が倒れたための災害
ブロック塀に補強のための鉄筋が入っておらず、構造上の脆弱性が認められたので、業務災害と認められる。
<事例2>作業場が倒壊したための災害
作業場において、建物が倒壊したことにより被災した場合は、当該建物の構造上の脆弱性が認められたので、業務災害と認められる。
<事例3>事務所が土砂崩壊により埋没したための災害
事務所に隣接する山は、急傾斜の山でその表土は風化によってもろくなっていた等不安定な状況にあり、常に崩壊の危険を有していたことから、このような状況下にあった事務所には土砂崩壊による埋没という危険性が認められたので、業務災害と認められる。
<事例4>バスの運転手の落石による災害
崖下を通過する交通機関は、常に落石等による災害を被る危険を有していることから、業務災害と認められる。
<事例5>工場又は倉庫から屋外へ避難する際の災害や避難の途中車庫内のバイク
に衝突した災害
業務中に事業場施設に危険な事態が生じたため避難したものであり、当該避難行為は業務に付随する行為として、業務災害と認められる。
<事例6>トラック運転手が走行中、高速道路の崩壊により被災した災害
高速道路の構造上の脆弱性が現実化したものと認めら、危険環境下において被災したものとして、業務災害と認められる。
4 通勤災害
<事例1>通勤途上において列車利用中、列車が脱線したことによる災害
通勤途上において、利用中の列車が脱線したことは、通勤に通常伴う危険が現実化したものであることから、通勤災害と認められる。
<事例2>通勤途上、歩道橋を渡っている際に足をとられて転倒したことによる災害
通勤途上において、歩道橋を渡っている際に転倒したことは、通勤に通常伴う危険が現実化したものであることから、通勤災害と認められる。
この度は、東日本大地震で被災された皆さまにお見舞い申し上げます。
さて、「地震の影響で、会社からしばらく来なくて良いと言われた」、「電車は動いているけど」という状況の労働者の方は、多くいると思います。
経営者の方も、「しばらく仕事にならないから」と思われて、社員を休ませよう、パートタイマーを休ませようと思っている(あるいは、すでに休ませた)方も多いと思います。
こういう場合、賃金・給料は、どうなるのか?
結論は、「会社の責任でなければ、休業手当を支払いなさい」です。
通常賃金の6割が、休業手当です。
社員さんはもちろん、パートさんだからといって「支払わなくても良い」とはなりません。
今は、かなり混乱していますので、このようなことを考える余裕は無いかも知れませんが、法令の上では、このような考え方になります。
地震は、経営者・会社の責任ではないですから。
でも、従業員さんを休ませたら、休業手当の支払いです。
自転車や徒歩で、出勤できる人に「来るな」と言えば、休業手当ではなく、通常の賃金が必要になるケースもあります。
顧問の社会保険労務士や、労働基準監督署でご確認頂くことをオススメします。
「交通機関の乱れによる遅刻や早退」の対応も、併せて考えておきましょう。
大阪社労士事務所
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