こんにちは。オフィス石野いしのです。
先々週から2週続けて休みなしでかなりグロッキー・・。
今週末も仕事があるので、この月曜日から金曜日までは、なるだけ省エネモードで乗り切ろうと思ってます(笑)。

さて、先日、60歳で再雇用となる従業員(Aさん)の老齢厚生年金の手続きを
させて頂きました。

この方のご主人(Bさん)は、すでに年金受給者であり、
奥さん(Aさん)に対する加給年金が支給されていました。

ちなみに【配偶者加給年金】とは、一定の扶養親族に対して加算される年金で、
いわば年金版の扶養手当のようなものです。

この加給年金は、厚生年金に原則として240月以上加入している方などに
権利が発生するのですが、
今回年金請求をされるAさんにもまた厚生年金の期間が240月以上ありました。

じゃあ、加給年金は、ダブルで受給できるの?! うらやましー!

・・・と思った方は、残念!
実は、このような場合は、どちらの加給年金にも支給停止がかけられてしまい、
結果としてそれぞれに加給のない普通の老齢厚生年金を受け取ることになるのです。
(ただし、一方が在職停止で、実質的に1円も老齢厚生年金が支給されない場合を除く。)

もともとの法律の趣旨としては、
「加給年金はあくまで扶養手当のようなもの。
奥さんも働いて厚生年金に20年以上入ったんだから、扶養手当なんてつける必要ないよ。」
ということなのでしょう。

でも・・・。
一般的には、女性の賃金は男性のわずか6割程度と言われています。
また年金額は、現役時代の平均給与がその額に影響するので、
女性の場合は、20年以上働き続けた年金額が、扶養手当である加給年金の額に届かないことも珍しくありません。

この方の場合も、そのケースに該当し、
Aさんが60歳になって、年金の受給権が発生することにより、
(Aさん・Bさん合算)の年金額<(Bさん単独)の年金額
という結果になってしまいました。

ところで、そもそもこの逆転現象は、ご夫婦双方が240月以上あったから・・のこと。

言いかえれば、仮にAさんの厚生年金期間が239月までであれば、
Bさんは引き続き、Aさんが65歳になるまで加給年金を受けることができました。

年金額は、本来、加入期間に応じて増えるはずのものですが、
加給年金については、このように制度の矛盾が生じます。

この制度がつくられた昭和の時代には、まだ共働き世帯は少なく、
加給年金で恩恵を受ける世帯が多かったことは事実です。

でも、平成9年以降は共働き世帯が片働き世帯を上回っており、
平成22年は、共働き世帯が1,012万世帯、片働き世帯が797万世帯となっています。
http://www.gender.go.jp/whitepaper/h23/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-02-18.html
(平成23年版 男女共同参画白書より抜粋)

それなのに何故、長く働けば損になるような年金の仕組みが、
今でも是正されずに残っているんでしょうね?

年金改革をするなら、保険料負担や支給年齢の変更などの議論ばかりでなく、
まずは働く者が報われる年金システムにして頂きたい!と思うばかりです。

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