一部の社員を労働時間規制から外す「ホワイトカラー・エグゼンプション(WE)」について、今国会への法案提出が見送られたにもかかわらず、将来の導入に前向きな企業が4割を超すことが21日、朝日新聞社が実施した主要100社アンケートで分かった。労働時間の長さより成果に応じて処遇することなどが理由で、企業の関心の高さが浮き彫りになった。(清川卓史、足立朋子)

 将来、WEが導入された場合の対応について回答したのは86社。そのうち36社(42%)が「前向きに検討したい」と答え、「導入する」の2社と合わせて積極派が44%を占めた。

 「前向き」と答えた大日本印刷は「国際競争力の観点からも、より効率的で自立的な働き方を推進する必要がある」とし、可能性がある職種として「本社の中堅幹部層」などを挙げた。住友商事は「時間では測れない付加価値創造に対する処遇という観点から有益」と答え、「(要件を満たす)すべての業務が対象となりうる」。すかいらーくは検討対象を店長業務とし、店長には人件費管理や勤務シフトの決定など、相当の裁量権があるためと説明した。

 「社員も納得感がある」(サービス)、「ワークライフバランスの推進につながる」(流通)など社員の利点を強調する回答もあった。

 対象となる職種候補は、「研究職、開発設計エンジニア、経営スタッフ」(ソニー)など開発や営業、企画系を挙げる企業が多かった。

 導入について「その他」とした中には、年収などの具体的な要件をみて検討するとの回答もみられた。

 一方で「導入しない」(3%)、「導入の可能性は低い」(8%)と答えた企業もあった。「可能性は低い」とするNTT西日本は「対象者の範囲や賃金の決定方法など、労使協議の対象が多岐に及び、難航が予想される」という。