総務省は28日、健康保険法の「被扶養者」の規定を見直すよう厚生労働省に要請した。現行は、弟や妹が年長の兄姉を健康保険の被扶養者とする場合には同居を義務付ける一方で、兄や姉が年下の弟妹を被扶養者とするケースでは同居の必要はなく、この「同居要件」の撤廃を求めた。総務省は「弟妹と兄姉で差をつける合理性がない」と強く指摘している。

 健保法は、健康保険の被扶養者の範囲を、被保険者の父母や配偶者、子供らのほか「弟妹」と規定。兄姉が弟妹を被扶養者とする場合は弟妹が兄姉に「生計の維持」をされていることが条件となるが、弟妹が兄姉を被保険者にする際には「兄姉ら年長者は本来自活すべきだ」(厚労省)との立場から「生計の維持」と「同居」の2条件を満たすよう義務づけてきた。

 総務省の改正要望は昨年2月に寄せられた女性会社員からの行政相談がきっかけ。この女性は重度の知的障害を持つ兄を自分の健康保険の被扶養者にするため実家に同居中で、「通勤に約2時間かかるなど支障が出ている」として見直しを求めた。