【 年金型生命保険の二重課税、最高裁判決の問題点 2 】
投稿日:2010年09月06日月曜日 10時40分26秒
投稿者:社会保険労務士・税理士 溝江 諭 KSC会計事務所 カテゴリー: General
札幌市豊平区の 社会保険労務士・税理士 溝江諭(みぞえさとし) です。
問題点 その1 では、
(1) 本件各年金の元本部分は非課税所得ではなく、分割払い金ではないか。
という、問題を提起をしました。
その1は以下でご覧ください。
http://www.ksc-kaikei.com/blog/index.cgi?no=73
今回は、年金型生命保険の二重課税、最高裁判決の問題点 の その2 です。
(2) 本件年金は二重課税となるのか?
第2点目は本件年金は二重課税になるのかという問題である。
所得税法9条1項の柱書では、「次に掲げる所得については、所得税を課さない。」とし、その15号(現行法では16号)で、「相続、遺贈又は個人からの贈与により取得するもの(相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)の規定により相続、遺贈又は個人からの贈与により取得したものとみなされるものを含む。)」と定めている。
本件判決では、本件年金について、「これらの年金の各支給額のうち上記現在価値に相当する部分は,相続税の課税対象となる経済的価値と同一のものということができ,所得税法9条1項15号により所得税の課税対象とならない。」と判示したが、その意味するところは、10回に渡って支給する年金のうち、各回の支給額には既に相続税の課税対象とされた現在価値相当の元本部分が含まれているので、支給の都度、その元本部分は所得税の非課税所得に該当するというのである。すなわち、非課税所得は支給の都度10回発生し、その元本部分が二重課税になるというのである。
はたしてこれが正しい解釈なのだろうか。
これを検討する前に「二重課税」につき注意すべき点が二つある。1点目は、本件判決で問題となった二重課税と一般的な意味での二重課税ではその対象範囲の広さが違うという点である。一般的な意味での二重課税では「同一課税客体に対し、同種の税金を課すこと」という相当広い範囲までを想定できる(例えば、①稼得所得に対し、所得税と住民税を課すこと、②軽油に対し軽油引取税と消費税を課すことなど。)が、本件判決では、あくまで所得税法9条1項15号という実在規定をもって、相続税との二重課税を排除しているのである(注10)。すなわち、相続税と所得税の間における二重課税の排除に限定しているのであって、上記のような広い意味での二重課税までを排除しようとするものではない。注意すべき2点目は、相続税額の有無に関わらず、相続税と所得税の二重課税の問題が発生するという点である。所得税法9条1項15号では相続等により取得したものについては、相続税額の負担がなくても所得税を非課税としているのである。
さて、本題に戻ろう。
本件年金の元本部分は既に検討したように分割払いの単なる「年賦金」と考えられる。年賦金の受給は既に確定した債権の回収金であるから、その回収金が所得税の課税所得や非課税所得になる余地はない、ましてや10回も非課税所得が発生するわけがない。同一客体に対し、相続税と所得税の両税において所得とされる場合に初めて二重課税の問題となるのであって、どちらか一方が所得に該当しなければそれは二重課税とは言わない。すなわち、本件年金は二重課税の問題ではないこととなる。
さて、二重課税の問題でないとすると、本件処分のどこに違法性が存在したのであろうか。それは、「所得とはならない年賦金」に対し所得税を課税していたところに違法性があったのである(注11)。なぜなら、所得でないものに所得税を課税することはできないからである。このように、1回目の本件年金に所得税を課税できないとする「結論」は最高裁と同じであるが、そこに至る根拠がまるで違うこととなる。
なお、本件の場合に、相続税と所得税が二重課税として排除されるのは、主契約と特約の両方に基づく「一時金としての生命保険金」の部分である(注12)。この部分については相続税の対象とされるため、所得税では9条1項15号により非課税所得とされることとなる。これに対し、年賦金はもともと所得ではないので、非課税所得とはなりえないし、これに所得税を課することもできないのである。
上記のように本件が二重課税の問題でないとすると、前記、6最高裁の判決の(4)の文章は次のように書かれるべきであった。
「(4) これらの年金の各支給額のうち元本部分は、そもそも所得ではないので、所得税の課税対象とはならない。」
このような判決ならば、その影響範囲も本件特約と同様の年賦金に限定されるのだが、実際の判決では「相続税と所得税の二重課税である」と大胆に判示したため、その影響範囲は大きく拡がり、二重課税が及ぶ範囲はどこまでかという難問を国に突きつける結果となった。
(3) 運用益の部分は何所得となるのか?
本件の訴えは1回目の年賦金の支払いについてのものであるため、被相続人の死亡日が支払日とされている本件では、運用益がいまだ発生していないと判示されたが、2年目以後の運用益については、「将来にわたって受け取るべき年金の金額を被相続人死亡時の現在価値に引き直した金額の合計額(略)と上記残存期間に受けるべき年金の総額との差額は、当該各年金の上記現在価値をそれぞれ元本とした場合の運用益の合計額に相当するもの」とされているだけで、課税に関する具体的な判示はない。ここに第3の問題点が出現する。すなわち、運用益の部分は所得税では課税所得とされるのか、あるいは非課税所得とされるのか、さらには、課税所得とされる場合、何所得に該当するのかという問題である。
この点に関しては、平成22(2010)年10月1日、財務省と国税庁が連名で「相続又は贈与等に係る生命保険契約等に基づく年金の税務上の取扱いの変更等の方向性について」(注13)という文書を公開した。この文書には、①所得税還付の対象となる生命保険契約等、②還付を受けるために納税者が行う手続き、③還付手続きの開始時期、④還付額の計算方法などとともに、平成22年10月下旬に、「所得税法施行令を改正するとともに、法令解釈通達を発遣し、(略)「保険年金」に係る所得税の取扱いを変更いたします。」と書かれている。
さらには以下のような記述がある。下線部分は筆者が追加。
「(3)これらの「保険年金」について、税務上、次のように取扱いを変更することといたします。
(変更前)各年の「保険年金」の所得金額(年金収入額-支払保険料)の全額に所得税を課税。
(変更後))各年の「保険年金」を所得税の課税部分と非課税部分に振り分け、課税部分の所得金額(課税部分の年金収入額-課税部分の支払保険料)にのみ所得税を課税。「保険年金」支給の初年は全額非課税で、2年目以降、非課税部分が徐々に減少していく簡易な計算方法により所得税非課税部分を算定していきます(支給開始年から終了年に向けて、非課税部分は、段階的に減少していくことになります。)。」
運用益に対する課税に関して、本件判決では具体的な判示がなかったにも関わらず、この文書においては「課税扱い」となることを既定の事実としているように見受けられる。はたして、運用益を課税扱いにして良いのであろうか。
本件年金を既に検討したように分割払いの単なる「年賦金」であるとした場合、分割元本を上回る運用益の金額は受取人に利益(利息ほか)をもたらすこととなる。すなわち、これは受取人にとって相続開始後の純資産の増加であり、明らかに所得を構成するものであるにも関わらず、この部分については相続税も所得税もいまだ課税されていない。そのため、理論的には、この部分については受取人に対し所得税を課税すべきものと思われるが、この運用益も元本部分と同様に相続により取得したものであるから、結局は所得税法9条1項15号(現行、16号)により非課税所得とされる。これが現行所得税での正しい取扱いであろう。このため、国がこの部分への課税を目論むならば、租税法律主義に基づき、所得税法の非課税規定を改正し、運用益への課税を明文化することが必要となる。
次に、所得税法を改正し、運用益に課税する場合、何所得にするべきかという問題が出てくる。所得税では利子所得は限定列挙されており(注14)、本件運用益はこれに該当しないので利子所得とはならない。そうすると、一時所得(注15)または雑所得(注16)のいずれかとなろうが、受給の継続反復性、月払い受給を選択した場合との整合性などを考慮するとやはり雑所得となるであろう。
9 本件判決が今後の税制に及ぼす影響
ここでは、本件判決が税制に及ぼす影響として、(1) 同様の受給者に対する救済法、(2) 相続税と所得税の二重課税が及ぶ範囲に分けて見てみよう。
以下、3回目へ続く。
http://www.ksc-kaikei.com/blog/index.cgi?no=75
(注10) 所得税法9条1項15号が相続税との二重課税排除のための規定かどうか検討したものに次の論文がある。
橋口聡子「生命保険契約に基づく年金の課税関係」公益財団法人租税資料館 租税資料館賞17回入賞作品P25-28
(注11) 武田昌輔氏は、「年金には課税すべきでないというのは、所得税法第9条第15号の問題としてではなく、回収額であるという理由による。(前掲書)」とし、小山隆洋氏も「年金払金については、(略)、二重課税ではなく、本来所得として課税すべきでないものに誤って課税が行われていることを問題にすべきである。(前掲書)」と述べられている。
(注12) 主契約と特約の両者に基づく「一時金としての生命保険金」の評価のうち、年金特約に基づく「一時金としての生命保険金」の評価に際しては、現行法では定期金債権としての評価方法を採用することとなるが、本件のような年賦金の場合は当初に確定している一時金の金額とすべきであろう。
(注13) 財務省と国税庁が連名で「相続又は贈与等に係る生命保険契約等に基づく年金の税務上の取扱いの変更等の方向性について」 http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/221001hokennenkin.pdf
(注14) 利子所得 所得税法第23条 「利子所得とは、公社債及び預貯金の利子(社債、株式等の振替に関する法律第九十条第三項(定義)に規定する分離利息振替国債(財務省令で定めるところにより同条第一項に規定する元利分離が行われたものに限る。)に係るものを除く。)並びに合同運用信託、公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託の収益の分配(以下この条において「利子等」という。)に係る所得をいう。」
(注15) 一時所得 所得税法第34条 「一時所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものをいう。」
(注16) 雑所得 所得税法第35条 「雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しない所得をいう。」
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問題点 その1 では、
(1) 本件各年金の元本部分は非課税所得ではなく、分割払い金ではないか。
という、問題を提起をしました。
その1は以下でご覧ください。
http://www.ksc-kaikei.com/blog/index.cgi?no=73
今回は、年金型生命保険の二重課税、最高裁判決の問題点 の その2 です。
(2) 本件年金は二重課税となるのか?
第2点目は本件年金は二重課税になるのかという問題である。
所得税法9条1項の柱書では、「次に掲げる所得については、所得税を課さない。」とし、その15号(現行法では16号)で、「相続、遺贈又は個人からの贈与により取得するもの(相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)の規定により相続、遺贈又は個人からの贈与により取得したものとみなされるものを含む。)」と定めている。
本件判決では、本件年金について、「これらの年金の各支給額のうち上記現在価値に相当する部分は,相続税の課税対象となる経済的価値と同一のものということができ,所得税法9条1項15号により所得税の課税対象とならない。」と判示したが、その意味するところは、10回に渡って支給する年金のうち、各回の支給額には既に相続税の課税対象とされた現在価値相当の元本部分が含まれているので、支給の都度、その元本部分は所得税の非課税所得に該当するというのである。すなわち、非課税所得は支給の都度10回発生し、その元本部分が二重課税になるというのである。
はたしてこれが正しい解釈なのだろうか。
これを検討する前に「二重課税」につき注意すべき点が二つある。1点目は、本件判決で問題となった二重課税と一般的な意味での二重課税ではその対象範囲の広さが違うという点である。一般的な意味での二重課税では「同一課税客体に対し、同種の税金を課すこと」という相当広い範囲までを想定できる(例えば、①稼得所得に対し、所得税と住民税を課すこと、②軽油に対し軽油引取税と消費税を課すことなど。)が、本件判決では、あくまで所得税法9条1項15号という実在規定をもって、相続税との二重課税を排除しているのである(注10)。すなわち、相続税と所得税の間における二重課税の排除に限定しているのであって、上記のような広い意味での二重課税までを排除しようとするものではない。注意すべき2点目は、相続税額の有無に関わらず、相続税と所得税の二重課税の問題が発生するという点である。所得税法9条1項15号では相続等により取得したものについては、相続税額の負担がなくても所得税を非課税としているのである。
さて、本題に戻ろう。
本件年金の元本部分は既に検討したように分割払いの単なる「年賦金」と考えられる。年賦金の受給は既に確定した債権の回収金であるから、その回収金が所得税の課税所得や非課税所得になる余地はない、ましてや10回も非課税所得が発生するわけがない。同一客体に対し、相続税と所得税の両税において所得とされる場合に初めて二重課税の問題となるのであって、どちらか一方が所得に該当しなければそれは二重課税とは言わない。すなわち、本件年金は二重課税の問題ではないこととなる。
さて、二重課税の問題でないとすると、本件処分のどこに違法性が存在したのであろうか。それは、「所得とはならない年賦金」に対し所得税を課税していたところに違法性があったのである(注11)。なぜなら、所得でないものに所得税を課税することはできないからである。このように、1回目の本件年金に所得税を課税できないとする「結論」は最高裁と同じであるが、そこに至る根拠がまるで違うこととなる。
なお、本件の場合に、相続税と所得税が二重課税として排除されるのは、主契約と特約の両方に基づく「一時金としての生命保険金」の部分である(注12)。この部分については相続税の対象とされるため、所得税では9条1項15号により非課税所得とされることとなる。これに対し、年賦金はもともと所得ではないので、非課税所得とはなりえないし、これに所得税を課することもできないのである。
上記のように本件が二重課税の問題でないとすると、前記、6最高裁の判決の(4)の文章は次のように書かれるべきであった。
「(4) これらの年金の各支給額のうち元本部分は、そもそも所得ではないので、所得税の課税対象とはならない。」
このような判決ならば、その影響範囲も本件特約と同様の年賦金に限定されるのだが、実際の判決では「相続税と所得税の二重課税である」と大胆に判示したため、その影響範囲は大きく拡がり、二重課税が及ぶ範囲はどこまでかという難問を国に突きつける結果となった。
(3) 運用益の部分は何所得となるのか?
本件の訴えは1回目の年賦金の支払いについてのものであるため、被相続人の死亡日が支払日とされている本件では、運用益がいまだ発生していないと判示されたが、2年目以後の運用益については、「将来にわたって受け取るべき年金の金額を被相続人死亡時の現在価値に引き直した金額の合計額(略)と上記残存期間に受けるべき年金の総額との差額は、当該各年金の上記現在価値をそれぞれ元本とした場合の運用益の合計額に相当するもの」とされているだけで、課税に関する具体的な判示はない。ここに第3の問題点が出現する。すなわち、運用益の部分は所得税では課税所得とされるのか、あるいは非課税所得とされるのか、さらには、課税所得とされる場合、何所得に該当するのかという問題である。
この点に関しては、平成22(2010)年10月1日、財務省と国税庁が連名で「相続又は贈与等に係る生命保険契約等に基づく年金の税務上の取扱いの変更等の方向性について」(注13)という文書を公開した。この文書には、①所得税還付の対象となる生命保険契約等、②還付を受けるために納税者が行う手続き、③還付手続きの開始時期、④還付額の計算方法などとともに、平成22年10月下旬に、「所得税法施行令を改正するとともに、法令解釈通達を発遣し、(略)「保険年金」に係る所得税の取扱いを変更いたします。」と書かれている。
さらには以下のような記述がある。下線部分は筆者が追加。
「(3)これらの「保険年金」について、税務上、次のように取扱いを変更することといたします。
(変更前)各年の「保険年金」の所得金額(年金収入額-支払保険料)の全額に所得税を課税。
(変更後))各年の「保険年金」を所得税の課税部分と非課税部分に振り分け、課税部分の所得金額(課税部分の年金収入額-課税部分の支払保険料)にのみ所得税を課税。「保険年金」支給の初年は全額非課税で、2年目以降、非課税部分が徐々に減少していく簡易な計算方法により所得税非課税部分を算定していきます(支給開始年から終了年に向けて、非課税部分は、段階的に減少していくことになります。)。」
運用益に対する課税に関して、本件判決では具体的な判示がなかったにも関わらず、この文書においては「課税扱い」となることを既定の事実としているように見受けられる。はたして、運用益を課税扱いにして良いのであろうか。
本件年金を既に検討したように分割払いの単なる「年賦金」であるとした場合、分割元本を上回る運用益の金額は受取人に利益(利息ほか)をもたらすこととなる。すなわち、これは受取人にとって相続開始後の純資産の増加であり、明らかに所得を構成するものであるにも関わらず、この部分については相続税も所得税もいまだ課税されていない。そのため、理論的には、この部分については受取人に対し所得税を課税すべきものと思われるが、この運用益も元本部分と同様に相続により取得したものであるから、結局は所得税法9条1項15号(現行、16号)により非課税所得とされる。これが現行所得税での正しい取扱いであろう。このため、国がこの部分への課税を目論むならば、租税法律主義に基づき、所得税法の非課税規定を改正し、運用益への課税を明文化することが必要となる。
次に、所得税法を改正し、運用益に課税する場合、何所得にするべきかという問題が出てくる。所得税では利子所得は限定列挙されており(注14)、本件運用益はこれに該当しないので利子所得とはならない。そうすると、一時所得(注15)または雑所得(注16)のいずれかとなろうが、受給の継続反復性、月払い受給を選択した場合との整合性などを考慮するとやはり雑所得となるであろう。
9 本件判決が今後の税制に及ぼす影響
ここでは、本件判決が税制に及ぼす影響として、(1) 同様の受給者に対する救済法、(2) 相続税と所得税の二重課税が及ぶ範囲に分けて見てみよう。
以下、3回目へ続く。
http://www.ksc-kaikei.com/blog/index.cgi?no=75
(注10) 所得税法9条1項15号が相続税との二重課税排除のための規定かどうか検討したものに次の論文がある。
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(注11) 武田昌輔氏は、「年金には課税すべきでないというのは、所得税法第9条第15号の問題としてではなく、回収額であるという理由による。(前掲書)」とし、小山隆洋氏も「年金払金については、(略)、二重課税ではなく、本来所得として課税すべきでないものに誤って課税が行われていることを問題にすべきである。(前掲書)」と述べられている。
(注12) 主契約と特約の両者に基づく「一時金としての生命保険金」の評価のうち、年金特約に基づく「一時金としての生命保険金」の評価に際しては、現行法では定期金債権としての評価方法を採用することとなるが、本件のような年賦金の場合は当初に確定している一時金の金額とすべきであろう。
(注13) 財務省と国税庁が連名で「相続又は贈与等に係る生命保険契約等に基づく年金の税務上の取扱いの変更等の方向性について」 http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/221001hokennenkin.pdf
(注14) 利子所得 所得税法第23条 「利子所得とは、公社債及び預貯金の利子(社債、株式等の振替に関する法律第九十条第三項(定義)に規定する分離利息振替国債(財務省令で定めるところにより同条第一項に規定する元利分離が行われたものに限る。)に係るものを除く。)並びに合同運用信託、公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託の収益の分配(以下この条において「利子等」という。)に係る所得をいう。」
(注15) 一時所得 所得税法第34条 「一時所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものをいう。」
(注16) 雑所得 所得税法第35条 「雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しない所得をいう。」
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