札幌市豊平区の 社会保険労務士・税理士 溝江 諭(みぞえさとし) です。
 
 
 先日、当社指定の会計ソフトを利用しているお客様A氏からこんな電話がはいりました。
 
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 A氏「パソコンが動かなくなり、如何ともし難いため、ハードディスクを初期化したのですが、会計ソフトのデータは復元できるでしょうか?」
 
 当社「データのバックアップをフラッシュメモリに取ってありますか?」
 
 A氏「確か数ヶ月前に一度取ったはずです・・・。でも、いつも使っているフラッシュメモリには何も残っていないのですが・・・。」
 
 当社「うーん・・・。」
 
 
 想定外の事態の出現です。バックアップデータが何もないというのです。ましてや、この会社は今月末が決算日。この差し迫った時期に来て、今期のデータを一切喪失したというのですから、当社としても唖然・・・です。
 
 普段から「バックアップデータは定期的に取っておいてください。」とお願いし、ソフト上でもバックアップを促すメッセージが定期的に表示されているにも関わらず、ここしばらくはバックアップを取っていなかったというのです。さらに、取ったはずのフラッシュメモリにそのデータが残っていないというのですから・・・。
 
 最悪の場合には、導入作業(会社の基本情報、科目体系、科目名、消費税情報、口座名、取引先名、摘要名、科目残高、試算表や財務諸表の形式などの登録)をはじめからすべてやり直し、さらに毎月のデータをすべて入れ直し、次いで登録に誤りがないかどうかを確認するため、すべての仕訳と科目残高をチエックする必要に迫られます。そして、これらの作業には膨大な時間を必要とするはずです。
 
 最悪の事態をなんとか避けることができないか。それを検討するためには、まず事実関係をしっかりと掌握する必要があります。そこで、急遽、お客様を訪問しました。
 
 お客様にはハードディスクの初期化に至った事情をお尋ねし、次に、初期化後のハードディスクの各ドライブに何らかの会計データが残されていないかチエックすることにしました。しかし、すべてのドライブを確認しても、それらしきデータの痕跡は一切ありません。
 
 そこで次に、現在保存しているフラッシュメモリを全部持ってくるようにお願いしました。バックアップ用にいつも使用していたフラッシュメモリとは別のフラッシュメモリにバックアップデータが残っていないか確認するためです。
 
 しばらくすると、仕事その他で使用している30本あまりのフラッシュメモリをお菓子箱にいれて持ってきました。
 
 「えっ、そんなにあるのですか?」
 
 思わずそんな問いが私の口から飛び出しました。
 
 その中から1本のフラッシュメモリを任意につまみ上げ、それをパソコンのUSB端子に挿入し、祈るような気持ちで、ディレクトリを開け、中のフォルダー名とファイル名を確認します。
 
 最初のフラッシュメモリの中には、会計ソフトのバックアップデータの存在を示すフォルダー名とファイル名を発見することはできませんでした。
 
 1本目のフラッシュメモリをUSB端子から外し、次に、2本目のフラッシュメモリをUSB端子に挿入し、1本目と同様に、ディレクトリを開けて中のフォルダー名とファイル名を確認します。
 
 しかし、2本目にもバックアップデータの存在を示すフォルダー名とファイル名が見当たりません。新たなフラッシュメモリを次から次へとつまみ上げ、同じ作業を繰り返します。
 
 10本目に至っても、20本目に至っても、30本目に至っても、それらしいフォルダー名とファイル名は見当たりません。
 
 「バックアップデータはやはり残っていないのか?」、徒労感が脳裏をちらりとよぎります。
 
 しかし、それでも、残り少なくなったフラッシュメモリに対し、同じ作業を機械的に繰り返します。
 
 お菓子箱に目を転じると、残されたフラッシュメモリはあと2本のみ。そのうちの手前にある小型のフラッシュメモリをつまみ上げました。
 
 「バックアップデータが残っていますように!」、心の中でそう祈りながら、USB端子に入れ、ディレクトリーを開きます。
 
 すると・・・。
 
 なんと、探していたホルダー名が眼前のディスプレーに表示されているではありませんか。
 
 「Kaikei_BKD」という、会計ソフトのバックアップデータを示すフォルダー名です。
 
 さっそくフォルダー内を覗いて見ると、バックアップの各データファイルが間違いなく残っています。
 
 「あー、良かった!」
 
 次に、残されているデータはいつのものか確認するため、早速、ひとつのファイルのプロパティを開いてみます。
 
 残っていたのは昨年7月のデータでした。つまり、前回の決算月の翌月データが残っていたのです。残念ながら直近のデータではありません。
 
 しかし、何もないところからすべての導入作業をやり直し、すべてのデータを入れ直す方法に比べると、このデータから復元する方法は手間を大きく省いてくれます。昨年7月のデータが残っていただけでも、不幸中の幸いと神に感謝しなければなりません。
 
 その後はそのバックアップデータを使って、昨年の7月のデータをまず復元し、その後、ちょっとした裏技を利用して、無事、直近の会計数値まで復元することができました。
 
 めでたし、目出度し。
 
 それにしても、バックアップデータが残っていて、本当に良かった!
 
 みなさん、大切なデータはハードディスクにだけではなく、フラッシュメモリなどの外部のメモリ媒体にも頻繁にバックアップしましょう。
 
 「備えあれば憂いなし!」、「急がば回れ!」です。
 
 ちょっとした手間を惜しまず、最悪時を想定し、それに備えよ!
 
 昔の人はうまいことを言いますね。
 
 それにしても・・・・。
 
 昨年の3.11の原発事故と事故に至るまでの原発行政と電力政策、事故以後の対処法と損害賠償、汚染地域の再生策、さらには今後の稼働に対する政府と電力会社の思惑を垣間見ると、残念ながら、これらの含蓄に富む格言が原子力発電においてはほとんど生かされていないのでは?と感じるのは私だけでしょうか。 
 
 
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について、判例を参考にしながら解説します。

 
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  TKC全国会会員
  税理士・社会保険労務士・行政書士 溝江 諭 KSC会計事務所
      Tel  011-812-1672 http://www.ksc-kaikei.com/  
 
          札幌学院大学 客員教授 税務会計論担当(学部)
                         税務会計論演習担当(大学院) 
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