震災に伴う解雇についてQ&A
投稿日:2011年04月06日水曜日 21時24分11秒
投稿者:東 社会保険労務士事務所 カテゴリー: 地震緊急労務対策
東日本大震災に伴う解雇についてのQ&A
(Q1)
今回の震災を理由に雇用する労働者を解雇・雇止めすることはやむを得ない対応として認められか。
(A1)
震災を理由とすれば無条件に解雇や雇止めが認められるものではない。
また、今回の震災の影響により、厳しい経営環境に置かれている状況下においても、
出来る限り雇用の安定に配慮していただくことが望まれる。
解雇については、労働契約法の規定や裁判例における以下のようなルールに沿って適切に対応する必要がある。
■期間の定めのない労働契約の場合
△労働契約法第16条
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」
△裁判例
整理解雇(経営上の理由から余剰人員削減のためになされる解雇)については解雇の有効性の判断に当たり、4つの事項が必要である。
①人員整理の必要性、②解雇回避努力義務の履践、③被解雇者選定基準の合理性、④解雇手続の妥当性
■有期労働契約(期間の定めのある労働契約)の場合
パートタイム労働者や派遣労働者に多く見られる契約形態である。
△労働契約法第17条第1項
「使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、
その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。」
★有期労働契約期間中の解雇は、期間の定めのない労働契約の場合よりも、解雇の有効性は厳しく判断される。
△裁判例
契約の形式が有期労働契約であっても、期間の定めのない契約と実質的に同じ場合や、
反復更新の実態、契約締結時の経緯等から雇用継続への合理的期待が認められる場合は、解雇に関する法理の類推適用等がされる場合がある。
(Q2)
今回の震災で、事業場の施設・設備が直接的な被害を受けたために、
事業の全部又は大部分の継続が困難になったことにより労働者を解雇しようとする場合、
労働基準法第19条及び第20条に規定する「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」による解雇といえるか。
(A2)
△労働基準法法第19条
「使用者は、労働者が業務上の負傷又は疾病のため休業する期間及びその後30日間、産前産後の女性が労働基準法第65条に基づいて産前産後の休業をする期間及びその後30日間は、労働者を解雇してはならない。ただし、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合に労働基準監督署長の認定を受けたとき等はその限りではない。」
△労働基準法第20条
「使用者は労働者を解雇する場合には、30日前に予告するか30日分の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければならない。ただし、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合等で労働基準監督署長の認定を受けたときは、解雇予告や解雇予告手当の支払は不要である。」
★「天災事変その他やむを得ない事由」とは、
天災事変のほか、天災事変に準ずる程度の不可抗力によるもので、かつ、突発的な事由を意味し、経営者として必要な措置をとっても通常いかんともし難いような状況にある場合を意味すると解されている。
★「事業の継続が不可能になる」とは、
事業の全部又は大部分の継続が不可能になった場合を意味すると解されている。
☆今回の震災で、事業場の施設・設備が直接的な被害を受けたために事業の全部又は大部分の継続が不可能となった場合は、
原則として、「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」に当たるものと考えられる。
(Q3)
今回の震災で、事業場の施設や設備は直接的な被害を受けていないが、
取引先や鉄道・道路が被害を受け、原材料の仕入、製品の納入等が不可能になったために、事業の全部又は大部分の継続が困難になったことにより労働者を解雇しようとする場合、労働基準法第19条及び第20条の「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」による解雇といえるか。
(A3)
事業場の施設や設備が直接的な被害を受けていない場合には、事業の全部又は大部分の継続が不可能となったときであっても、
原則として「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」による解雇に当たらない。
▲ただし、取引先への依存の程度、輸送経路の状況、他の代替手段の可能性、災害発生からの期間等を総合的に勘案し、事業の継続が不可能となったとする事由が真にやむを得ないものであると判断される場合には、例外的に「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」に該当すると考えられる。
東社会保険労務士事務所HP
(Q1)
今回の震災を理由に雇用する労働者を解雇・雇止めすることはやむを得ない対応として認められか。
(A1)
震災を理由とすれば無条件に解雇や雇止めが認められるものではない。
また、今回の震災の影響により、厳しい経営環境に置かれている状況下においても、
出来る限り雇用の安定に配慮していただくことが望まれる。
解雇については、労働契約法の規定や裁判例における以下のようなルールに沿って適切に対応する必要がある。
■期間の定めのない労働契約の場合
△労働契約法第16条
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」
△裁判例
整理解雇(経営上の理由から余剰人員削減のためになされる解雇)については解雇の有効性の判断に当たり、4つの事項が必要である。
①人員整理の必要性、②解雇回避努力義務の履践、③被解雇者選定基準の合理性、④解雇手続の妥当性
■有期労働契約(期間の定めのある労働契約)の場合
パートタイム労働者や派遣労働者に多く見られる契約形態である。
△労働契約法第17条第1項
「使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、
その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。」
★有期労働契約期間中の解雇は、期間の定めのない労働契約の場合よりも、解雇の有効性は厳しく判断される。
△裁判例
契約の形式が有期労働契約であっても、期間の定めのない契約と実質的に同じ場合や、
反復更新の実態、契約締結時の経緯等から雇用継続への合理的期待が認められる場合は、解雇に関する法理の類推適用等がされる場合がある。
(Q2)
今回の震災で、事業場の施設・設備が直接的な被害を受けたために、
事業の全部又は大部分の継続が困難になったことにより労働者を解雇しようとする場合、
労働基準法第19条及び第20条に規定する「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」による解雇といえるか。
(A2)
△労働基準法法第19条
「使用者は、労働者が業務上の負傷又は疾病のため休業する期間及びその後30日間、産前産後の女性が労働基準法第65条に基づいて産前産後の休業をする期間及びその後30日間は、労働者を解雇してはならない。ただし、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合に労働基準監督署長の認定を受けたとき等はその限りではない。」
△労働基準法第20条
「使用者は労働者を解雇する場合には、30日前に予告するか30日分の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければならない。ただし、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合等で労働基準監督署長の認定を受けたときは、解雇予告や解雇予告手当の支払は不要である。」
★「天災事変その他やむを得ない事由」とは、
天災事変のほか、天災事変に準ずる程度の不可抗力によるもので、かつ、突発的な事由を意味し、経営者として必要な措置をとっても通常いかんともし難いような状況にある場合を意味すると解されている。
★「事業の継続が不可能になる」とは、
事業の全部又は大部分の継続が不可能になった場合を意味すると解されている。
☆今回の震災で、事業場の施設・設備が直接的な被害を受けたために事業の全部又は大部分の継続が不可能となった場合は、
原則として、「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」に当たるものと考えられる。
(Q3)
今回の震災で、事業場の施設や設備は直接的な被害を受けていないが、
取引先や鉄道・道路が被害を受け、原材料の仕入、製品の納入等が不可能になったために、事業の全部又は大部分の継続が困難になったことにより労働者を解雇しようとする場合、労働基準法第19条及び第20条の「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」による解雇といえるか。
(A3)
事業場の施設や設備が直接的な被害を受けていない場合には、事業の全部又は大部分の継続が不可能となったときであっても、
原則として「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」による解雇に当たらない。
▲ただし、取引先への依存の程度、輸送経路の状況、他の代替手段の可能性、災害発生からの期間等を総合的に勘案し、事業の継続が不可能となったとする事由が真にやむを得ないものであると判断される場合には、例外的に「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」に該当すると考えられる。
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