大曲市農業共同組合事件(最高裁S63.2.16)

労働契約法第9条及び10条についての参考判例
(就業規則による労働契約の内容の変更)
■大曲市農業共同組合事件とは(概要)
 7つの農協の合併に伴い、新たに作成・適用された就業規則の退職給与規定が、合併前の1つの農協の従前の退職給与規定より不利益(退職金支給倍率が低減した)なものであった事例で、秋北バス事件を踏襲した上で、就業規則の合理性について、その必要性及び内容の両面からみて、労働者が被る不利益の程度を考慮しても、新しい労使関係における就業規則の法的規範性を是認できる合理性があるとして、新規則の合理性を認めて、不利益を受ける労働者に対しても拘束力を生じるものとした。

★ポイント

1.退職金支給倍率は低減したが、、給与額は合併にともなう給与調整等によって、相当程度増額されており、退職時までの給与調整の累積額は、おおむね本訴の請求額と等しい。

2.合併の結果、休日・休暇・諸手当、旅費等の面で有利になっている。

3.定年も男子は1年間、女子は3年間延長されている。

☆判決
 「特に、賃金、退職金など労働者にとって重要な権利、労働条件に関し、実質的な不利益を及ぼす就業規則の作成又は変更については、当該条項が、そのような不利益を労働者に法的に受忍させることを許容できるだけの高度の必要性に基づいた合理的な内容のものである場合において、その効力を生ずるものというべきである。」






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